引っ込み思案な女の子がアクティブな人間へ大変身
独立法人国際協力機構―略称JICA―でODAの案件に携わる二木緑葉さん。
小さい頃から「海外での仕事」に憧れていた彼女は、
どのように自分の夢を叶えることができたのでしょうか。
二木さんの中高時代から探っていきましょう・・・
なぜ藤へ入学を?
小学生まで転校が多かったせいか、自分を表現するのが苦手な子どもでした。そんな私には中高一貫校が向いていると両親が薦めてくれて。本当に漠然とですが、将来は海外でお仕事したいと思っていたので、英語が強くて、道外の大学への実績が豊富なのが決め手でした。あと、当時は自宅が花川で、藤大のキャンパスが身近にあって・・・。
でも、花川キャンパスは近いですが、16条は・・・。
冬は通学に1時間以上かかり、ちょっと辛かったです(笑)。
入ってみて、藤の英語はどうでしたか?
中学の時に教えていただいた英語の先生に、「あんな風にしゃべれるようになりたい!」と憧れて。それから、バックグラウンドが様々な外国人の先生の英会話の授業も刺激的でした。私が教わったのは、スコットランド出身のニール先生に、アメリカ人シスター、それに黒人のジョスリン先生。私は日本生まれ・日本育ちで、小中高と塾にほとんど行かなかったので、いま海外と向き合う仕事に就けているのは、本当に藤の「授業」のお陰です。
英語暗唱大会はどうだったんですか?
中3の時、たしか学内が2位。それで高円宮杯に出て3位だったと思います。精一杯やったのに、あと一息で全国大会に進めなかったのが悔しくて…。それを見かねた先生方が、次の年も(笑)。
えっ 高1でも?
はい、高校の部に。もちろん、中3の方々が優先的に出て、それにあわせて自主練習。こんなにして頂いて申し訳ないと勝手にプレッシャーを感じましたが、無事「札幌・ポートランド姉妹都市提携記念スピーチ大会」で優勝。オレゴン州で、ホームステイや市庁舎での記念スピーチをさせてもらいました。
中学も高校も、藤の生徒だったんですね。
はい、同じ制服で表彰台に並びました!中学の部で準優勝した伏木唯さんは、その後ドイツに留学され、現在はピアニストとして活躍しています。
一番好きな教科はやはり、英語でしたか?
そうですね。私は課外活動ばかりに精を出していたので、家で机に向かいたくないという不純な動機なのですが(笑)。基本的に「授業」が好きでした。特に、理科・社会・宗教かな。地理の先生と北11条教会に行った修養会、印象深いです。あと、理科の先生が、1年生のはじめに液体窒素を使った実験を見せてくださって、小学校の頃は苦手意識があったけれど、それからは理科も好きでした。
宗教は、どうでしたか?
先生方は「カトリックの教養は、将来あらゆる文化や芸術を理解するのに役立つ」とおっしゃり、大人は都合がいいなぁって、正直ちょっと訝しがっていました(笑)。でもお祈りや聖歌の時間は楽しいし、ミサでパイプオルガンを演奏させてもらったこともありました。
役立っていると感じることはありますか?
卒業後ですね。大学時代に半年間、シンガポールの会社でインターンをしたのですが、たとえばオフィスに向かうエレベーターの中に、華僑も、ムスリムも、インド系も、ベトナムやマレーシア出身の人も、欧米人もいる。こういう風に外国の人と一緒に過ごすとき、12歳の柔軟なうちから宗教に触れてきたことが、相手の信仰や習慣を尊重する心の礎になっていると思います。
逆に苦手だったのは?
数学です。ⅡBのスタートかなにかでつまずいて…。
数学が足を…。
完全に引っ張りました。藤は医学部を志す女子も多いので、理数科が抜群にできる子が結構いるんですね。そんな友達をみて、「私は自分が得意なことをがんばろう」って、私の悪いところですが、諦めが早かったです(笑)。
先ほど、課外活動が忙しかったといっていましたが、どんなことを?
中学の時は生徒会とミュージカル。高校に入ってからは、英語のスピーチから日本語に転向して弁論大会に出たり、小さなボランティアグループを作って活動したりしていました。
弁論とは?
7分間、審査員の前でスピーチをする競技で、お陰さまで、高3の時に「全国青年弁論大会」で優勝できました。
ボランティア活動は?
ささやかなことばかりですが、バザーや勉強会をしたり、あとは「被爆ピアノ」という広島で原爆の爆心地からすぐ近くにあったピアノを使ったチャリティコンサートを催したり。これには藤の友達もたくさん協力してくれて、500人近い観客の方に集まって頂きました。
自分でアンテナをのばして色んなことに挑戦していたんですね!一般的に中高一貫って、3、4年生で一回中だるみするって言われているんですよ。だから、二木さんのように自分でいろいろなことにチャレンジする、というのが理想です。
おお~、よかったです!ふり返ると、中1、2年の時は学校生活だけで精一杯でした。3年生くらいから通学や友人関係にも少し余裕が出て、受験のための勉強に時間を取られない。そこで色んな出会いや、活動に繋ったと思います。
印象に残っていること、授業以外でお願いします。
いっぱいあって難しいですね。じゃあ、ふたつ。ひとつは学校祭です。ふつうは生徒が主役でクラスの出し物がメインだと思うんですが、藤は同日にメインの大体育館で保護者がバザーをしていますよね。在学中は「絶対おかしい!」と思っていましたが(笑)、今はお陰で家族の仲が良いのだなと思います。
「家族の仲がいいのは藤のお陰」って、すごく嬉しい言葉です・・・。
3歳下の妹がいて計9年お世話になりましたが、母は毎年バザーのお手伝いで、父が送り迎え。母は今も藤の大ファンで、実家の玄関には制服姿のテディベアがいます(笑)。
同窓会で販売しているクマさんですね(笑)。では、2つめの思い出は?
合唱コンクールです。たしか4年生と6年生で指揮者をさせてもらいました。別学のいいところは、異性の目を気にせず、多様な個性を伸ばしあえること。お洒落が好きな子も、勉強まっしぐらの子も、ひとつになる。6年生は審査を待つ間、学年全員がステージに上がりハレルヤコーラスを歌うのが伝統で。すごい人数なので、伴奏もメロディーも全然聞こえないのですが(笑)、楽しかったです。
この間インタビューしたジャズピアニストの方とも、うちは「みんなちがって、みんないい」だよねと。
はい。お陰で色んな趣味を教えて貰い、多様な友だちができました。それから男の子がいないから、力仕事もスポーツも、みんなで頑張る。ジェンダーフリーですね。
でも、最近あまりにもジェンダーフリーなので(笑)、最近の目標は、「レディを育てる」です。
先日同級生と、藤は7年制かもしれないねって話していて。6年間は伸び伸びと過ごし、大学で共学の雰囲気に触れて、レディになってゆく・・・。
「藤は7年制」!その表現、とてもいいですね。それでは、在校生に対してメッセージをお願いします。
私は今27歳ですが、中高生の頃の自分のままだと感じることが多々あります。苦手なことも、得意なことも、勉強や仕事の癖も。藤はミッションスクールで、校則も厳しい。窮屈に思うことがあるかもしれませんが、卒業した今は、ありがたみを感じています。6年間でしっかり「自分」をつくって、レディになってください!
今やっていることは重要で、逆に言えば、何もしないとそのまんまだよ、ってことですね。
はい、数学やっておけばよかった~って思います(笑)。
撮影場所:JICA札幌
撮影協力:坂元 芳匡(JICA札幌)
インタビュアー/新山 晃子
カメラ/中村 祐弘
編集/松永 大輔
デザイン/清水 麻美