チャンスの船が岸に現れたらいつでも飛び乗れるように
弁論大会やボランティア活動で自分の力を伸ばしてきた二木さん。
そんな彼女は大学でも様々なことにチャレンジします。
そしていよいよ就職し、国際貢献の世界へ・・・?
しかし、二木さんの進路は意外なものでした。
大学受験について聞かせてください。
課外活動ばかりの高校生活だったので、大学はAO入試で慶應義塾大学総合政策学部へ進みました。弁論やボランティア活動を通じ「社会をどう良くするか」に関心があるものの、まだまだ価値観がふわふわしていた頃です。英語や国際協力だけ勉強するより、文理の別なく、学際的に学べるところに惹かれました。
特に何を勉強したんですか?
一応、国際協力のゼミに入っていたのと・・・。
そこは一貫しているんですね。
していますね。待降節募金をカンボジアの孤児院に寄付していた頃から(笑)。あとは当時フェイスブックやツイッターが出たての時で、郊外のキャンパスだったので、一番の遊び道具はインターネット。だから、テクノロジー関連の授業も楽しかったです。
課外活動は?
引き続き「話すこと」でした。今度はチーム制で、2対2や3対3で戦う形式の「Parliamentary Debate」といって、試合開始20分ほど前にテーマが発表され、即興で討論する。コンテスト形式のスピーチとは異なり、今度は必ず勝敗がでるのが面白かったです。
そんな討論大会があるんですね!
はい。ディベートでは色んな大学と練習したり、海外の大会に行ったり、部の運営も自分たちでやらなきゃいけないので、自分の世界がグッと広がりました。
その他の活動は?
あとは、内閣府「東南アジア青年の船」という事業に参加し、今も受け入れのボランティアを続けています。東南アジア10カ国と日本の青年300人余りで、2ヶ月間船の上で共同生活。寄港地での表敬訪問やホームステイを通じ、国際交流するというプログラムです。2010年に乗船してから、翌年からは日本での受け入れに際し、ディスカッションのファシリテーターをしています。
うちの子たち、学校の雰囲気は慶應に向いていると思うんですが。
わかります!私も最初は、北海道から行って大丈夫かなと怖がっていましたが(笑)、周りには中高女子校という子も多く、藤の雰囲気に近かったです。
意外と、早稲田、中央人気なんですよね。
実は私も、高校生の頃は憧れていました(笑)。一概には言えませんが、実際は藤のカラーなら、慶應、上智。女子大なら、津田塾、日本女子あたりも合うかもしれません。
次に、就職活動について聞かせてください。
学部時代は開発政策や東南アジア外交を中心に学びましたが、ちょうどSNSが隆盛し、「アラブの春」が話題になっていた頃で・・・。在学中ITベンチャーでのアルバイトが楽しかったこともあり、卒業後は日本のインターネット企業に就職しました。
いずれ国際協力の仕事に就くとしても、イノベーションが多く、スピーディな業界での経験は役立つと考え、丸2年ほど事業開発と広告・マーケティングの仕事に奔走しました。
お仕事で心掛けていたことは?
新卒入社なので、社会人としての基礎体力を鍛えられそうなところがよくて。私が社会に貢献できるのは、語学や、人前で話すコミュニケーション力だと思うので、「外部との折衝が多いポジション」を選んでいました。
あとは「成功するまでやり続ける」ことです。先ほど「数学は諦めが早かった」と話したばかりですが(笑)、お仕事は答えも解き方もひとつじゃなくて、向かい風の時も、追い風の時もあります。基本的なことですが、バッターボックスに立つと決めたら、きちんと振り切る。女子高仕込みの強さですね(笑)。
藤で学んだことが生きた場面は?
すごく細かいことでも大丈夫ですか?
もちろんです!
ひとつは、北海道出身ですというと、稀に「もしかして藤?」と言っていただくことです。伝統のある学校なので、年配の方が「北海道で女の子なら藤だよね」とご存じだったりして。あとは、『女子礼法』。まだありますか(笑)?
もちろん、あります!
さすがに、バナナをナイフとフォークで食べたことはないですが(笑)。
自分では覚えていませんが、両親が言うには、藤に入ってから表情や言葉遣いが穏やかになったようですし、今も立ち振舞いや機転を褒められることがあると、『女子礼法』のお陰かなと思います。長い歳月かけて、ちょっとずつ、レディに近付いているのかもしれません(笑)。
お仕事はすごく楽しそうですが、いつ転職しようと考えたんですか?
社会人3年目のはじめでした。SNSが一時のブームが落ち着いて一般化してきたタイミングで、国際協力への情熱が再燃し、ちょうど今の職場にご縁を頂いたので…。
いつか行こう、と思っていたんですもんね。
前職もとても楽しかったのですが、このまま会社を勤めあげる人生もいいけれど、将来「本当はやりたいことがあった」と後悔しないかなって。
たまたま関心のあるポストに募集が出ていて。ちょうどその週末に大学の先輩たちと食事に出掛けた時に相談したら、そのうちの一人が背中を押してくださり、かなり具体的なアドバイスをくださって。
チャンスの船が岸に現れたらいつでも飛び乗れるよう足腰を鍛えておこうとは、いつも思っています。
撮影場所:JICA札幌
撮影協力:坂元 芳匡(JICA札幌)
インタビュアー/新山 晃子
カメラ/中村 祐弘
編集/松永 大輔
デザイン/清水 麻美