進路について OGの活躍
進路について OGの活躍
今村彩加さん 第1話トップ
第1話

「人と付き合う才能はすごい」と
言ってくれたのは角田さん

リクルート北海道じゃらんを退職後、
プログラマー兼WEBデザイナーを目指す今村さん。
入るつもりはなかった?大親友との出会い?
彼女の中高時代を紐解きましょう…

藤に入学した理由を教えてください。

セキララでいいんでしょうか…。当時、少し成績が良かったので両親に勧められました。「もし受かったとしても行かなくていいから力試しに中学受験をしてみない?藤女子がいいんじゃない?」と。結果合格し、気が付いた時には入学式に立っていました(笑)

両親の勧めで。

はい。「公立校で道を踏み外したら困る。中学受験をさせよう」と思ったんだと、のちに父から聞きました(笑)。両親の出身は稚内ですが、父が藤女子を選んだのは、仕事仲間から「娘が藤女子に進学する」という話を聞き、「いいな」と思ったそうです。

お父様は、稚内からいつ札幌へいらしたんですか?

20 歳くらいです。専門学校を卒業した後、事業を始めるために。なので私が生まれる前にはもう札幌へ。

取引先とのやりとりの中で藤を知ったわけですね。

「娘が通ってるよ」とよく話題に上ったようです。母も社会人以降は札幌に住んでいたので「女の子だし、藤女子に」と。中学受験をしろというよりも藤女子ほぼ一択でした。「藤女子に入学さえできれば、娘はまっすぐ成長するはず」と思ったのかも(笑)

気が付いたら、入学式に立っていたといいましたが…。

合格から入学までの記憶が曖昧で…(笑)。ただ、制服を買いに行ったのは覚えています。「あれ、わたしどこに行かされるんだろう…?」って。気付いたら制服の試着コーナーにいました。

「自分は、入るつもりはないよ」という意思表示はしなかったのですか?

「小学校の友達と一緒の学校がいい」と言っていたのに、制服コーナーで腕の長さを測られながら「あれ?これはもう決定事項なのか?」と青くなった記憶があります(笑)。でも両親は「(意思確認を)きいた」と。

でも小6ですからね。なんとなく誘導尋問みたいだったら…。「いかなくてもいいけど、せっかく受かったし、どうする?」と言われたら…。

そうですね。見事に誘導されました(笑)

学生時代1

入学してみてどうでしたか?

一転、とても楽しかったですね。友達がよくて。みんな面白くて。

中1の時にすでに面白いなと思った人はいますか?

たくさんいましたね。特に仲良かったのは角田つばささん。

公立の友人と交流したときに、「いいな~、あっちに通うはずだったのに…」という気持ちはありませんでしたか?

登下校中に地元の友人と会う事も多く、卒業するまでちょっと思っていました(笑)

藤の学校生活で、不満はどこでしたか?つまり、「公立いいな」と思った理由は。

藤の子ってみんな雰囲気が似ていると感じていて、それが当時の私には平和だな~刺激がたりないなと映ったんだと思います。今考えるととんだ贅沢ですが。
自我が芽生えた時には「色んな人と話したい」「色んな人と出会いたい」というのがあって、もっと…男の子がいる環境も憧れましたが、そうじゃなく、色んな世界の人と会いたいなと思っていたので。

今村さんは垣根がなくて誰とでもなじむ雰囲気がありますものね。

人が好きなんです。ただ、自分で意外に思ったのは、このインタビューのお話を頂いた事を母に話したら「入学前は、そんなに皆に話しかけにいく感じじゃなかったよ」と言われた事ですね。「藤に通い始めてどんどん明るくなっていった」と言われました(笑)

そうなんですか?

自分でも意外でしたが、そうみたいです。人見知りはしなかったので、入学式で隣の席だった角田さんにはのちに「いきなり『よろしくね!!』と勢いよくいわれて怖かった」と言われましたが(笑)。母曰く、藤女子に入ってから天真爛漫さが増していったらしいです。

校則は厳しいけど、心が自由なんです。今村さんは、藤に入ったおかげでその「力」が開花したのでは?

愛情深い先生と、自由で優しい友人に囲まれながらのびのびと過ごしている間に開花したようです。母によると、それまでは斜に構えてムスっとしてることが多かったと。

…思春期だったんじゃない?

そうかもしれませんね、早かったですね(笑)

率直に、藤はいやでしたか?

最初は嫌だと思って入ったんですけど、友達が好きすぎたのですぐに楽しくなりました。毎年友達が増えていきました(笑)。「クラス替え嫌だな~」と年度末に自宅でぐずぐずしていると母に「あんたそれ毎年言ってるから!去年とまったく同じ!大丈夫!」と言われ続けました。

友人関係で悩むことはなかったの?

一度もなかったですね(笑)

学生時代2

じゃあ、公立じゃなくても、いいじゃないですか。

そうですよね!刺激だけですね。飛び立ちたいだけだったのかな。時効だとして…スカートを短くしたり、違う色のカーディガンを着たり(笑)。それで街をてくてく歩いてたらニール先生に見つかり、翌日呼び出されました(笑)。
あと修学旅行での聖歌隊…。当時関川先生のクラスだったんですけど、Sさん、Nさんとか…。「あんたたちうるさいんだから、聖歌隊でもやっておとなしくしなさい」と言われ…。でも肝心の当日に集合時間に間に合わず、聖歌隊はクビになりました。それで、会場のはじっこに…。
最初は「(聖歌隊なんか)やだ」とか言ってたんですけど、いつのまにか皆やる気だったんです。でもクビ(笑)。よくわからない端のスペースに追いやられて懺悔しました。

ほかに、印象に残っている藤でのエピソードはありますか?

今は無くなってしまったようですが、ブリティッシュヒルズの研修旅行はすごく楽しかったです。テーブルマナーがカルチャーショックでした。12 歳の私は「ナイフやフォークを使うのに順番があるの…?」と。研修旅行でコース料理がでてきて、その場で教えてもらいながら食す…センセーショナルでした。
ハリーポッターのようにテーブルがだーっと並んでいる中でディナーを。

なかった概念が導入されたわけですね。

はい。あとはエレベーターのマナーの良さ(笑)。藤女子の子って全員、人が来て、降りるまでエレベーターを開けて待っててくれますよね。あれが身体に染みついたのは藤のおかげ。ちょっとしたことでも習慣として身に付いたことがたくさんあります。藤女子式の掃除とか。

他に身についたことは?

部屋に入る時は3回ノックし、「失礼致します」と声をかけ入室する流れとか。
「2回ノックはトイレです」って教わりました(笑)。私、就職活動は結構頑張ったんですけど、面接練習中にまわりを見ていると、他学生にあまり「3回」っていう概念がないと知り驚きました。あとは、習慣とは違うかもしれませんが、シスターや外国人講師の方が多いので、意識せずとも英語が日常に溢れていて、英語には自然と慣れました。日常の一部として。今考えるとありがたい環境ですね。

先生とのエピソードを教えてください。

6年間、藤で楽しく過ごす中で私が一番ハマったのは日本史で、「私のアイデンティティは日本史」という感じで卒業したんですが、実は「美大に行きたい」という気持ちも少しあったんです、小さい時から絵を描く事が好きだったので。
でも、日本史や日本文化が好きでもっと学びたい、という気持ちによって、そちらは自然と潰えていったんですよね。でも卒業する時、小山田先生(現:山城先生)が、「あなたは美術系のところにいくと思っていた」と言って下さり、「えっ」と思いました。先生が卒業アルバムに「センスのいい生き方」とか、「美術の才能がすごくあったよね」と書いてくださって。その時に、自分でも忘れていたやりたい事を、「そうだ、そういえば、デザインやってみたかったっけ」と思い出しました。それからは「わたしもいつかデザインやれるといいな」とずっと思っていました。

山城先生は、中1の時の担任ですね。

はい。先生が担任をしてくださってたのは6年も前の話なのに、私の事よく見てくださってたんだなぁ…と。私のなにかを覚えてくださってるんですね。もしかしたら「なすび」かな(笑)

中学の美術の授業で必ず作る、「そっくり野菜」?

びっくりするほどそっくりな紙粘土のなすびが出来上がりました(笑)。些細な事ですが、そういう私のなにげないことを覚えててくださったのかなと。感謝です。
今後、IT 業界で仕事をしようと決めたので、プログラマー兼WEBデザイナーを目指して勉強中です。2020 年1月からはセブ島に3か月ほど、英語でプログラミングを学ぶ IT 留学をしに行きます。WEBページを作るうえでユーザビリティなどを意識してデザインを組み立てるのは楽しいです。

Webデザイン

現在、忘れていた夢に向かっているのですね。新たな道に挑戦すること、素敵です。

私は当時自分で自分の事「斜に構えてる人」と思っていたんですけど、卒業時、担任だった須澤先生は、「優しさに助けられました。クラスを明るくしてくれてありがとう」と言ってくださいました。私はそんな自覚全然なかったんですけど。でもどの先生も愛情深く、注意深く、私たちを見てくださってるんだなと改めて思いました。

今村さん、一度も斜に構えてなかったですよ。そうありたかったのかもしれないですけど。

自分だけ勘違い(笑)。斜でもなんでもなく、まっすぐでしたか?

友人について教えてください。

角田つばささんとは、中1の時から今日に至るまで。昨日も会いましたし。大親友ですね。

中1で大親友に出会ったんですね。

入学式が出会いです(笑)。席が隣同士で。偶然地元も一緒で近所でした。彼女の、人を見てとにかく褒める力が凄くて。

例えば?

自分の長所を知るのって難しいですよね?彼女は「ここがあなたのいい所!」と指摘してくれるんですよ。長所を伸ばしてもらいました、色々(笑)就職活動でも自己分析がいちばん大変だったんですけど、おかげさまでなんとかなりました。

「斜に構えてる」が自己分析ですものね。

(笑)。とんちんかんな私を助けてくれた親友に感謝です。

角田さんは、いいところを見極めてくれて、かつ、言語化してくれたわけですね。

「柏(旧姓)の人と付き合う才能はすごい」と言ってくれたのは角田さんですね。「えっ!そうなの?」みたいな(笑)。それこそ「開花」させてもらいました。
今でも前職の営業は天職と思う程楽しかったですが、そんな「わたしは人との関係構築が得意」という自己形成にも影響したと思っています。最近も「柏はデザイン方面向いてると思うよ、やりなよ」と背中を押してくれました。言語化してくれるので、だんだん自信になるというか。彼女に感謝してる人はたくさんいると思います。彼女は私にだけではなく、皆にそうなので。

角田さんと喧嘩したことはないですか?近すぎて喧嘩したりするのでは?

記憶にないですね…基本ぶつからないです。

角田さんとクラスが一緒だったのは、中1の時だけ?

中1だけです。でも、ずっと大親友です。

この前、角田さんのお店に行ったとき、お母様が「柏もみんなスカート短くしてたけど、うちの子はしなかったのよ」って。お母様は「娘もそうすればいいのにってずっと思ってたけどしなかった」って(笑)。それは、本当でしたか?

本当です。いつもここ(昔の夏の制服のブラウス)まできっちりしめるのが彼女流でした。自分のワールドあるんですよね。帰り道が一緒なので放課後に二人でいると「ふたりが仲良しなの、知らなかった」と色んな先生に言われました。
性格もどちらかといえば反対なんですが、お互いに「自分は自分」。ほかの友人もみんなそうですね。皆が個々の世界観があって自立していて、押し付けずに共存するのは藤らしさですね。

部活には入らなかったんですね。習い事は?

ピアノを10年習っていました。

じゃあ、合唱コンクールの時に伴奏を?

いえ、小学校時代は周りにピアノを習っている子がいなかったので、伴奏者として常連だったんですが、藤の猛者たちのなかではとてもとても…(笑)。なのでピアノが弾ける事すら言わなかったです(笑)。誰も知らないと思います。

中1で「合唱コン」が近づいたとき、「伴奏やるかも」とは思わなかったんですか?

思ったかもしれないですね。でも、「ピアノやってる人~」って言われた時、クラスの7割くらいが手を挙げて衝撃でした。「世界って広いんだな」って思いました。絶対音感がある子もいるし、コンクールの常連の子もいたので。

今村彩加さん1

個性あふれる人々ばかりですね。さっき柏さん、同じような人びとだっておっしゃったけど…。

当時わたしが似ていると思ったのは「優しい雰囲気」だっただけ。見誤ってましたね。皆すごい個性的。ちょっと思ったんですけど、個性伸びてきますよね。

そうなんですよ。

学校祭も頑張りましたね。皆で一緒に作り上げるお祭りがすごく好きで。学校祭の案出して、希望が通ったんですよね。タピオカドリンクのようなお店をやりました。

先見の明がありますね。2019 年に再燃した商品じゃないですか。球技大会は?

まるっきりダメです。運動音痴の極みなんです。

でも周囲は「柏はバスケ出るんでしょ?」という認識だったのでは?

私以外の” 聖歌隊” はみんな出てました(笑)。ずっとバレエをやられてたSさんとか、大活躍してましたね。私は「無理!応援してるわ!」みたいな(笑)。それもみんな、「柏運動音痴だもんね~」って許容してくれました。

では、球技大会は活躍せず。でもクラスに明るさをいつも提供してくれる、そんな生徒だったんですね。

先日退職の際には、幸せな事に社内外たくさんの方から惜しむメッセージを頂き、上司に「柏がいると場が明るくなるから寂しいよ。周囲とのバランサーであり潤滑油」と言って頂いた際には須澤先生のメッセージを思い出しました。
藤女子で開花した力かな。

では、小学生の児童のみなさんに対して、メッセージをお願いします。

とにかく一生付き合える友達ができるのは間違いありませんし、普通ではできない体験もチャンスもたくさんあります。大人になって思うのは、みんなが将来色んな進路に自由に進むので、気づけばすごい人脈ができていました。一般企業に進むだけではなく、佐々木さん(第13話に登場)のように漆作家として活躍されている方、バレエやデザインなどの道に進む方など。医学の道に進んだ友人には、家族が病気になった際にたくさん助けてもらいました。自分も成長できますし、さまざまなジャンルで活躍する友人ができる、素晴らしい環境です。

同じような人だと思ってたけど、多種多様な道に進んだわけですね。

そうですね。友達が私の宝物です!


撮影場所:藤女子大学
インタビュアー・ライター/新山 晃子
カメラ/中村 祐弘
編集/高橋 巧