進路について OGの活躍
進路について OGの活躍
ジャズピアニスト 外山 安樹子 34期生 第3話

プロとして、そして未来へ向かって

3回にわたってご紹介してきた外山安樹子さんのインタビュー。
最後はプロのジャズミュージシャンとして活躍する彼女のこれからの夢や目標、
そして、藤を目指す皆さんへのメッセージをうかがいました。

インタビュー写真01

どうやって、プロになったのですか?

ジャズって、アマチュアの裾野が広くて、ジャズフェスとかライブハウスでもアマチュア枠があって、ちょこちょこ出ていたりしたんです。誰がプロって決める世界でもないし、もちろん自分も技量が足りないと思ってて。たまにセッションで、先輩のミュージシャンやベテランの方が遊んでくれたり、教室にも先生以外に現役で活躍してる方々が来てくださったりするんですよ。一番のきっかけが、昔のグループで、ペドロ&カプリシャスというグループのドラムをやってた方が。 ※ペドロ&カプリシャス=結成から40年以上も活躍を続ける音楽バンド

かつては歌手の髙橋真梨子さんもヴォーカルをつとめていましたよね!?

そうそう。そのバンドのドラマー・鈴木ウータン正夫さんが、「あなたピアノすごく面白いけど、まだジャズになってないから、一緒にバンドやろうよ。いろいろ教えてあげる。あるお店で今度レギュラーで入ることになったから、やってみないか」と。そこから色々と広がっていきました。

そこで本当のジャズを。

そうですね。それがちょうど30歳ぐらいでしたね。自分で思っていた以上に「ジャズを演奏する」ということは難しくて、練習やライブの前はいつも胃が痛くなるほど鍛えられました。

東京だといろいろな機会が多そうです。

そうですね。今だと、ニューヨークより東京の方が多い、っていわれるくらいライブハウスがあって。ライブハウス、結婚式場、レストラン、野外のイベントや学校でも、いろんなところで仕事をしています。

話をきくと、ジャズの方って熱心なんですね。後継者育成の指導といいますか。

今は音楽大学にジャズ科が出来たり、ジャズを学ぶ、という形が出来てきていますが、ジャズは人に「習う」ものでなく「掴む」みたいな、伝統芸能的なところもあるんですよね。なので育成するというより、「俺のプレイを間近で聴いて盗め!」(笑)みたいなプロミュージシャンが多いのも面白いです。

自分で「プロになったな」と思ったのはいつ?

難しい質問ですね!というのはさっきもお話したようにプロとアマの垣根が低いジャンルなので、非常に線引きしにくいんです。日々の活動の中で「自分で曲をつくろう」ってなって、ぼちぼち10曲くらいたまってきて。それで、自主制作CDを作ったんです。それが2007年。それを聴いた知り合いのレーベル会社の人が、「音にこだわったCDを作りたいからうちから出してみないか」と言ってくれたんです。ベースとピアノをマイク一本で加工をせずCDを作るDSD録音方式っていうのがあって、オーディオに凝った人用に、出したいと。それで正式にレーベルから出した時に、ああ、なんかプロデビューしたのかなって。それが、ファーストアルバム「Lilac Songbook」です。

その時の反響というのは?

ステレオ誌とかオーディオ関係の雑誌に結構載って、そこで今までは関東の狭いところでやってたのが、いろんなところにCDが飛ぶようになって。

全国区になった。

そうですね。ちなみに初めての札幌でのライブはここ(インタビュー場所のライブハウス)で。その後CDを出すたびにどんどん活動の範囲が広がって呼んでくれる人が増え、毎年ツアーで全国色々な所で演奏できるようになってきてとても嬉しいです。

インタビュー写真02
最新アルバム「Tres Trick」を持って。

プロのジャズピアニストになって一番嬉しかったことは?

なんだろう。う~ん。あ、最近出したCDがタワレコとか山野楽器とか有名なCD店で平積みにされて自分のコーナーを作ってもらったりしたんです。お店に自分のポスターが大きく貼ってあったりCDがずらっと並んでいるのを見てとても感激しました。それからジャズ界ではかなり有名な「ジャズライフ」という月刊雑誌があって、そこに見開き2ぺージでインタビューが載った時には親戚中に配りました(笑)

熱狂的なファンは?

札幌から大阪まできてくれた方いましたね。でも、私のファンの方は比較的細く長く、なタイプの方が多いかも。デビュー当時から、影で見守ってくれてる、みたいな(笑)

一番好きなジャズのピアニストの方は?

すっごいマニアックなんですが、今はベルギーのイヴァン・パドゥアという方が一番好きです。プレイもだけど楽曲が素晴らしい。最初は、ビル・エヴァンスとか、キース・ジャレットとかから入りました。それから今でも好きで、アイドルなのはここ(インタビュー場所のライブハウス)にもいらっしゃる、スウェーデンのラーシュ・ヤンソンという方。その方のCDをきいて、自分でも曲作ろうと思ったり。アメリカのジャズとはまたちょっと違う、クラシック的な要素も入りつつ、でもジャジーな感じで、わたしのやりたいこととドンピシャな人なんです。

外山さんの基礎がクラシックで…

そうですね。スウィングというか、昔ながらのジャズも好きだし、でもジャズにこだわる必要はない、クラシックだって民謡だってポップスだっていいものはいい、そういうのも上手に料理して自分の音楽を作っている、という方が好きですね。

これからどのような活動をしていきたいですか?

今ジャズミュージシャンとして自分が一番大事なのは「生の演奏を聴いていただく」ことだと思ってます。魂の入った音というか、そういうものを感じてもらう機会を増やしたいです。ライブハスウ以外にも学校やもっと身近な場所で気軽にジャズを聴いてもらえるように、ジャズの面白さを知ってもらうためにレクチャーライブをしたり・・・常に技術を磨き自分の勉強をしながら、今やっている活動を地道に続けていきたいと思っています。今のところ事務所にも入ってないし、プロデューサもいないので。

ふなっしーみたいですね。

(笑)そうですね。じゃあ、目標は、ふなっしーかな(笑)。今住んでるのも船橋近くだし。

いまの活動を続ける他に、なにか大きな夢はありますか?

やっぱり、夢は、大きいジャズフェスとか出たいですね。
クラシックの時にはフランスで演奏したことがありますが、ジャズピアニストとして海外に行ったりしてみたいです。

札幌のジャズフェスは?

シティジャズやってますよね。いつか出たいな!と思っています。

素敵な夢が今も広がり続けている外山さん!

ちなみに、卒業してからもつきあいがある方はいますか?

それこそ、中学受験のときから一緒の子は、いまだにフェイスブックでつながってたりとかしています。ただ高校に入るとき、進路にあわせたクラス分けがあるので、一番仲がいいのは、高校に入ってからの子かも知れません。今では私の財産とも言うべき友達になっています。

友達との絆が今でもつながっているって素敵ですね。

もちろん「同じ学校で過ごした」という、アイデンティティが同じっていうのもあるけど、なんかやっぱり、みんな芯に同じものをもってる気がするんですよね。社会に出てみんな違う道に進んでいるけれど久しぶりに会っても、考え方が似てたり、話しやすかったり。
それから、「藤出身です」というと「きちんとした教育を受けた人なんだね」と信頼されたり、道外でも「私も藤よ」なんて同窓生に会うこともあります。伝統ある学校だからすごく年の離れた先輩とお会いすることもあるけれど同窓ということでぐっと距離が近くなる、そういう出会いがまた新しい仕事につながったりしています。生き生きと活躍している女性に藤出身者が多いのは嬉しいですよね。

最後に藤受験を考えている親御さんに対して一言いただけますか?

お子さんの個性を伸ばしたいな、と思っている方には、とってもいい学校だと思います。そういう個性的な子が集まるので、のちのち財産となる友達ができると思います。

今回はインタビューにお答えいただきありがとうございました。

ありがとうございました。


撮影場所:くう
撮影協力:山本 弘市(くうオーナー)
インタビュアー/新山 晃子
カメラ/中村 祐弘
編集/松永 大輔
デザイン/清水 麻美