「勉強って楽しいな」という気持ちが未来設計図を変えていく
藤に入学するまで、自分が医学の道へすすむとは考えていなかった磯山響子さん。
そんな彼女が、「勉強」に目覚め、
「理系」を目指したきっかけは・・・?
藤の授業で、印象に残っていることはありますか?
このインタビューで言おう!と決めていたのが、宗教の授業なんです。わたしはキリスト教の信仰は特にないのですが、自分が今まで思っていたのとは違う考え方を教わるという、すごくいい機会でした。
違う考え方、とは?
キリスト教の考え方に基づいて、この話は何を意味しているのか、何を伝えているのか、考えるんです。自分の考えはいったん脇によけておいて、こういう視点に立ったらどういう風に見えてくるんだろう、という。それがすごく入試でも役立ちました。論文や面接の際、「その場」で求められていることを念頭において、自分の考えを織り交ぜて発信する、という技法が身についていたので。
入試以外では、どうですか?
相手と意見が食い違った時に、「自分はそう思わない」で終わりじゃなくて、相手の視点から見たらどうなんだろう、と考えることができますね。相手の考えに流されるんじゃなくて、「取り込み、消化して自分の糧にする」というイメージです。
いままでも、「宗教の時間良かった」と言われることが多かったですが、そういう風に表現してくださったの、はじめてです。
なんだか、当時から斜めから物を見ていたみたいな感じで申し訳ないんですけど(笑)。
面白いです。
「わたしキリスト教徒じゃないし」と言う子もいましたが、そういうことではなくて。自分がどういう風に考えるのか、というのはその後のことだから、まずは柔軟にそれを受け入れて、いろんなことをそこから考えてみる、っていうことが大事なんじゃないかな。この考え方があれば、世界から争いごとは無くなるんじゃないか、と私本気で思ってるんです(笑)。
世の中って、「あなたの考えを述べなさい」って問題ばかりじゃないですか。でも、「自分の考え」って、実は自分の考えじゃなくて、他所から借りてきたものをそうだと思い込んでいるだけで・・・。でも、ある視点を借りて、そこをくぐって考えを述べてみると、本当の自分の考えがでてくるのかもしれませんね。
こんな考え方を自分がするんだ、ってなるかもしれないですよね。
藤での学習は、どうでしたか?
中学校2年生くらいの時に、「なんか勉強って楽しいな」って思ったんですね。数学がとても面白いって思うようになって。「自分は理数系なんだ」という気持ちになっていきました。1年生の時、成績が思ったよりよかったので、「勉強でもいけるかも!」みたいな予感が芽生えました(笑)。
数学に目覚めたきっかけは?
問題を解いていく中に、解く喜びを感じたんです。
昔のヨーロッパでは、世界の原理を解くのは、数学と音楽ですもんね。両者とも普遍性があり、それが磯山さんにとってピタっとはまったのかもしれませんね。
ああ〜、そうなんですかね。
数学が面白いと感じながら、まだ夢はピアノ関係でしたか?
ピアノもやり続けてはいたんですが、だんだんと、勉強を生かした方に行きたいな、と。医学部と決めたのは、高校1年生くらいだったと思います。
身近に医療関係の方がいらしたんですか?
全然いなかったですね。
じゃ、「天啓」ですね。
なんだったんでしょうね(笑)。
高1のときに、医師という志望を固め・・・ちなみに受験ですか?推薦でしたか?
一般推薦です。センター試験の成績も必要でしたね。
藤では、10年連続札医の一般推薦で合格者を出しているんですよ。
あ、そうなんですか。なんだか、嬉しいです!
評定平均は、5.0?
体育だけが3で(笑)、あとは5でした。ある先生に、「体育だけ何とかならない?!」と言われて、「体育だけどうにもならないんです!」って(笑)。
塾は通っていましたか?
通ってないです。学校の授業で理解を深めました。
受験期に、「もう勉強やだ!」と思うことはなかったんですか?
ストイックに1つのことをガーっとすることが好きな方なので。センター試験前とか、家で缶詰状態だったんですけど、毎日、自分で1日のノルマを決めてひたすら取り組む、トイレにいく時間も全部計算して決めておく、という状態でした(笑)。大学の定期試験や医師国家試験の勉強にもこのスタイルを採用していました。
おすすめの勉強法ってありますか?
あります!私、わりかし成績もよい上に人当たりもよかったから(笑)なのか、みんなに勉強を教えてって言われてたんですね。でも、それがすごく自分の勉強につながって。「教えて」って言われると、間違えたこと教えちゃだめだし、わかりやすく詳しく解説しようと頑張るので、自然と理解が深まるっていうのが。テスト前日とかにも、FAXをガーガー送ったり(笑)。
紙代が・・・!
お母さんに「指導料と通信代もらいなさいよ」って(笑)。
申し訳ないです・・・。いま、教育界でも、講義形式より、人に教えると理解が深まるというのが主流で・・・。磯山先生は実践していたわけですね。
そうですね(笑)。教えあったりとか、出し惜しみや自分の世界を閉じないで共有していくことは、いつか必ず自分のプラスになると思う。あと、ライバル・・・ってわけじゃないですが、同じくらいの成績の人とも一緒に解法について話したりして高めあうようなことが。
「勉強のライバル」というの、藤の良さだと思っています。「私は91点だった」って、点数も公開。
そういえば、わたしも、点数をお互いに言い合う友人がいました。
中学でつまずきやすい数学ですが、後輩にアドバイスをお願いします。
数学というのは、解く過程と、答えを導く方法が下りてくる瞬間が面白いと思うので、諦めずに頭をフル回転させてほしいな、と思います。
答えまでの道のり、ですね。
そうですね。「必ずどこかにある答えに、どうやってたどり着くか」を楽しんでいただけたらと思います。
撮影場所:札幌医科大学付属病院
インタビュアー/新山 晃子
カメラ/中村 祐弘
編集/松永 大輔
デザイン/清水 麻美