進路について OGの活躍
進路について OGの活躍
産婦人科診療医 磯山 響子 53回生
第3話

女性の身体は神秘的。だから面白い

医学部を無事卒業。
国家試験に合格した後、初期研修で様々な科をまわった磯山さん。
彼女はなぜ、「産婦人科」に決めたのでしょうか。
そして、今後の夢は・・・。

産婦人科を志望した理由を教えて下さい。

医学部を卒業し国家試験を合格した後に、初期研修という、いろいろな科をまわる期間が2年間あるんです。産婦人科をまわる前は、全く別の科に進むことを考えていたのですが、産婦人科で研修していた時に、なんだかすごく興味をひかれて・・・そのまま産婦人科に決めたんです。出会い、という感じですね。

大学時代。テニス部の大会にて(後方左) 大学時代。テニス部の大会にて(後方左)

興味をひかれたきっかけは、何だったんですか?

日中に婦人科の入院患者さん・・・ガンでお亡くなりになられた方がいたんです。そして、その日の夜、私が上級医の先生と当直中にお産があって、初めて出産に立ち会ったんです。この世に命が産まれる瞬間を見て、同じ日に生と死がある、ということがとても感慨深くて・・・。「おめでとうございます」が言える、命が産まれる過程に関われるのは産婦人科特有だな、と感じました。

やりがいは、今はどこにありますか?

大学では、産科のチームと婦人科のチームに分かれていて、現在産科に配属されているんですが、妊娠自体は、大変喜ばしいことである一方で、様々な合併症や生命をおびやかすリスクも孕んでいて、そういった喜びと苦悩に関わっている、と感じることですね。
今後のことを言えば、いわゆる「更年期」とかで悩んでいる方々に、接して、関わっていきたいという思いがあって・・・。

婦人科のほうに、ということでしょうか。

女性は一生の中で、年齢とともに女性ホルモンの分泌バランスが変化して、身体や心にもダイナミックな変化が起こっていく。それに応じてライフスタイルもどんどん変わっていくんですよね。思春期とか、妊娠出産に適した時期とか、閉経時期とか。そのなかに、体調の不調含め、色んな悩みが出てくるので、それに向き合うことができるのが、とても神秘的で面白くて。だから、月経にまつわる不調や更年期障害といった病気でないけど病気のような状態があったり・・・妊娠自体も病気ではないけどつわり等で体調が悪くなったり、いろんな不安を抱えたりっていうのがあるので、そういうところに医学を基盤に関わり、不安を解消していきたい、ということを今考えています。

磯山 響子 写真

ひとりの女性として年齢を重ねていくなかで、先生自身も直面することを、専門としていく・・・というイメージでしょうか。

去年出産を経験しましたけど、「つわり」にどんな症状があっていつ頃からいつ頃まで続くとか対処法とか、「陣痛」もどのように進行して出産に至る、というのは知識として理解していても、どんな風につらくて不安なのか、というのはやっぱり自分が妊婦の身になってみて初めて気づくところがたくさんありました。陣痛って子宮の入り口が全部開くまでは、いきんじゃいけないんですが、それまでいきまないように陣痛を逃すのがどれだけ大変か、とか。今になると、「ああ、そうだよね」って共感することができたりしますね。

他の科だと、全部の病気になるわけにはいかないですが・・・。でも婦人科だと、女医さんだと、共感していけるのかもしれないですね。

勿論、体験したことがなければ、病気や患者さんを理解できないとか良い医療を提供できないということは決してないけれど、一つのアドバンテージなのかもしれない、と感じることはあります。

子育てと医師の仕事の両方をこなしていることについて、感想をお願いします。

子どもが生まれ、「母として」のすごく大きな役割ができたということを、思いますね。ひとりの人間を育てるという、責任感を感じます。いま実は、仕事と子育ての両立の部分に、迷いがあって・・・。このバランスって人によって違いますよね。今私は半々という感じですが、子どもに対しても親は自分しかいないと思うと、その役割は果たしたいなという・・・。まあ、どんな働き方をしても、様々な形で母親の役割を果たすことはできるのだろうとは思うんですが・・・。

模索中なんですね。

そうですね。今の時点で人生設計が固まっていたら、もっと参考になる立派なお話が出来たかもしれなかったのですが(笑)。

現在、2人目を妊娠中ですから、数年後にまた磯山さんの設計図をお見せいただきたいです。

機会があれば、ぜひお願いします!

最後に、藤の受験を希望する小学生に対してメッセージをお願いします。

自分の個性を伸ばせるような、よい学校です。きっと、他の学校にはないような体験をすることができます。
もし藤を考えているけれど「私キリスト教ってわけじゃないしなぁ・・・」と思っている人がいたら、「物は試し」みたいな柔軟な気持ちで門を叩いて、若い頭と心でたくさんのことを吸収して成長してほしいです。


撮影場所:札幌医科大学付属病院
インタビュアー/新山 晃子
カメラ/中村 祐弘
編集/松永 大輔
デザイン/清水 麻美