進路について OGの活躍
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アナウンサー 森田絹子さん 第3話トップ
第3話

アナウンサーは、リレーでいえばアンカー

部活動の仲間との出会い、ミス日本への挑戦・・・。
自分ができることを模索し、全力で取り組んだ大学4年間。
結果、「1名枠」だったアナウンサーに採用となります。
第3話は、彼女の「仕事」に迫ります。

仕事をはじめた頃のことを教えてください。

うちの会社は、アナウンサーで採用されると、秋ぐらいまで報道部で記者をやるんですよ。理由としては、報道は放送局として大きな使命だから。ニュース読むときの原稿ってどうやってできてるかとか、テレビってこうやって作られてるんだよって知るため。取材交渉や映像編集も。現場を見て学んでこいってことなんですけど。だから私、アナウンス職採用ではありながら9月までは報道記者をしていたんですよね。その時から、アナウンサーになることを見据えてちょこちょこ中継リポートとか人前で話す機会を与えてもらってはいて。だからアナウンス部に入った時には、ゼロではなかった…アナウンサーの発声とかはゼロですけど、リポートのセオリーはある程度4か月間で教えられたので。アナウンス部に入った時はそういう状態だったんですけど。

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記者の仕事を通して、アナウンサーとしての土台をつくる、というのがHBCさん流なわけですね。

そうですね。

4か月間は制作の現場で働いて、アナウンス部に異動してからは?

今は「今日ドキッ!」を担当してますけど、最初は朝と夜のニュースとか、とくに担当はなくいろんな番組で流動的に仕事を。

朝ニュースだと、何時入りですか?

まだ外も暗いうちに。
寝るのは…いつも9時には寝なくちゃ!と思っても、なんだかんだで眠れなくて、0時くらいに寝て数時間で起きるという感じですね。アナウンス部に入ってから4月まではそういう生活でした。

アナウンサーになって、対等になりたいと言っていた部活の仲間たちの反応はどうでしたか?

「いつもはアホみたいなのに、やるときはやるな!」と(笑)認めてくれたというか…「がんばったな」って喜んでくれました。

アナウンサーの仕事をして、楽しいと思ったことはなんですか?

やっぱり…最初はラジオやテレビでニュースを読むっていうことばっかりだったんですけど、だんだん外に出て行く機会も増えてきて、例えば地方のお祭りの司会だったりとか、イベントでいつもと違う場所から放送したりとか、そうやって外に出てみて実際に視聴者の反応が得られた時がすごく嬉しくて。

テレビカメラではなく、そこに実際の人がいて。

スタジオに入ってニュース原稿を読んでいると、観てる人からは見られてるんですけど、私からしてみたらカメラ1台に向かって言ってるだけなので、テレビの向こう側の方たちの反応をダイレクトで知るのは難しい。例えばお医者さんだったら怪我が治ったとか、数値がよくなったとか、そうやって目に見てわかる結果があると思うんですけど…テレビも視聴率という数値は出ますけど、それがすべてではないと思いますし。だからイベントとかで出て行くと、「いつもきいてるよ」とか「あの時のこの情報で助かったんだよ」とか、「元気もらってるよ」とか言ってくれる人がいる。それが、もの凄く嬉しかったですね。自分の仕事って意味があるんだなって、少しは思えます。

今、後輩ができて、でもたくさんの先輩もいるという、2年目はどういう感じですか?

2018年の4月から「今日ドキッ!」のレギュラーになって、画面にでる機会が増えてきたんですけど、やっぱり一人の戦力として一個の番組を作っているので、求められることとか、やらなきゃいけない、できなきゃいけないことがどんどん増えてきて。「渡された原稿を読む」ということの先ができなきゃいけなくなってきました。赤れんがテラス前の中継一つとってみても、アナウンサーって言われたことを言っているだけって思われがちなんですけど、でも全然違って。構想の段階からスタッフと話し合って、これをこんな流れで話していこうとか、こう言ったら違う趣旨になっちゃうんじゃないかとか、こう動いたらわかりやすいんじゃないかとか。本当に細かいことを考え、話し合っているんですよね、ものすごく細部まで。

テレビの場合、特に打ち合わせが長いですよね。

逆に、それが楽しいなって思えてきてるんです。チームでひとつのものを作り上げていくことの楽しさを感じてます。難しさと同時に。

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反応が良かった企画はありますか?

赤れんがテラスのクイズコーナーで、私が有名人の絵を描いて「今日のクイズはこの人にちなんだお題です」と言ったら、それが思わぬ笑いに繋がったことがあって。なんせ人物の顔を書くのが苦手なので、いじられて(笑)それがきっかけで、今は私が絵を描いたりとか、「森田面白いことできるな」ってことでモノマネやったりだとか、歌ったりだとかをそのコーナーの恒例としてやっていくようになって。自分がちょっと変えるだけ、今日はこれやってみようって小さなアイデアを出すだけでも、ガラッと大きく変わることもあるんですよね。どんどん変化を起こしていける。同じ仕事の繰り返しではありながら、中身はやったことの反省を踏まえて次にどんどん膨らませていけるし、それだけ変える余地があるというか、それがテレビづくりの面白さかな、と。

伝える相手側のマスも大きいですしね。

それだけ責任はあります。

アナウンサーは、とても華やかな世界というイメージがありますが、舞台裏を教えてください。

たしかにこの仕事をしていると有名な方に会えたり綺麗な衣装を着てメイクをしたり…そうやってテレビに出ている人は華やかだと思うかもしれませんね。私も働く前はそんなイメージでした。でも例えばニュース原稿を読むにしても、ただ読むだけに見えるかもしれませんが聴く人にすんなり内容が入るように読むには相当な訓練、コツコツと努力が必要です。

この間、森田さんが出ているニュースを観ましたが、とても流暢で聴きやすかったです。

いや…まだまだ下手っぴです…。何年目であろうと毎日訓練してますし、発声やイントネーションといった技術面だけがうまくなっても足りなくて。記者が取材して書いた原稿をそのまま読むのと、ニュースの内容をしっかり自分で咀嚼して理解しているのとでは同じ文章を読むのでも全く違う聞こえ方がするんです。なにを伝えたいのかを本当に理解していないと、自分の言葉として伝えられないんです。

それでは、「世の中」に対して常に感度を高めておく必要がありますね。

そうですね…。普段から一般常識はもちろん世の中の動きとか流行っているものなどに敏感に、アンテナを張っていなければいけなくて。例えばですが、ポケモンGOが流行した時も、上司からインストールしてやってみたほうがいいって言われたんです。真面目に「ポケモンGOやってる?」って聞かれて(笑)

それは面白い職場です。

積極的にスポーツを見に行くとか、今流行ってるシメパフェに行ってみるとか…自分の世代ではないからとか知らないからとかではなく、何に対しても興味を持って普段から生活することも仕事に繋がっていくと思います。
いい意味で「ミーハー」になるべきというか。

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「努力」、「ミーハー」、他に必要な素質はありますか?

やはり体力ですね。アナウンサーの仕事は朝が早かったり夜が遅かったり、拘束時間が長かったり本当に不規則ですし、灼熱の中、極寒の中での中継だったり、日帰りで北海道の端っこまで行って仕事したり、何時間も喋り続けたり…体力がなければ務まらない仕事だとつくづく思います。元気な姿で出演する為には、体調管理と健康な体作りは必須ですね。

ハードですね。

実際に出演する時間、皆さんが私たちを目に耳にする時間は、ほんの一部であって、9割くらいは準備だったりリハーサルだったりする時間です。よく「アナウンサーって出てないときは何してるの?」と言われるのですが意外とハードかもしれない。

そういえば、雑誌『ポロコ』でお店を紹介している記事をみました。

ありがとうございます。いまは「さつログ」という、主に映画情報を紹介する番組を担当していることもあって、何ヶ月かに一回ポロコさんで映画のレビューも書かせてもらっています。

他に、「アナウンサー」として外部からどんな仕事依頼がありましたか?

週刊誌の「地方局のアナウンサー特集」みたいな取材を受けたことがあります。本業は情報を伝えることですから…少し気恥ずかしさはありますけど。あと、局が出資している映画への出演もあります!「七つの会議」という映画で私がニュースを読んでいる映像がちらっと使われているんですよ。

それはすごいです!

実際に東京に撮影に行って俳優さんたちとお芝居をした先輩もいます。改めて、仕事を通してなかなかできない面白い経験が沢山できているなーとは思いますね。

やってみたい仕事はありますか?

東京オリンピック・パラリンピックには何かしらの形で関わりたいと思っています。オリパラが日本で開催されるなんて、4年に1度どころか一生に1度あるだけでも奇跡ですから、その大切な年にこの仕事についていて本当にラッキーだなと思いますね。

たしかに、このままいくとアナウンサー4年目ですね。

日本でオリパラ開催!と言っても…実際には、現地で直接見ることができるのはほんの一部の人。あとの大半の国民はメディアを通して見聞きするしかない訳で。その大事な媒体となれること、重要な役割を担えるなんて本当に幸せだと思いますしそれこそアナウンサー冥利に尽きるだろうなと思います。
この間のワールドカップのときも、市内のスポーツバーに行ったりすすきの交差点に行ったりして取材をしたんですが、やっぱり日本全体が盛り上がっているコンテンツに関わるのはただただ純粋に楽しかったです。試合開始時間が深夜続きで社内は大変でしたけど…(笑)

札幌でも、ドームでサッカー競技を開催する予定ですね。

楽しみですよね!せっかくの機会ですから少しの時間でも現地に行って取材や中継ができればいいな~東京行けたらいいな~なんて思ってはいますが、競技全体をみても、北海道の局として発信できることが沢山あります。北海道出身の選手であったり道民の盛り上がりであったり、オリパラによる観光や経済の側面もそうです…地元に寄り添った報道ができればいいなと思っています。

では逆に、「アナウンサー」として辛かった仕事はなんですか?

パッと思い浮かばない…ほんとにないかも知れないです。今日のロケ難しかったなーとか、ちょっと失敗してしまったなーとか、こんなこと言えばよかった、こう話を切り返したらよかった…とかは勿論仕事をしていればありますけど、それも楽しいというか。試行錯誤して悩んで…っていうのも、今わたし充実してるな!って、むしろやり甲斐に感じるんです。「生きているな。」みたいなかんじで(笑)

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目指すは、パテのような人生でしたね。

辛い時も、たぶん「あぁ私今つまずいてる!充実してる!生きてる!」って変換されるんです(笑)。リスクを背負わない安全な道を通ってきた私だからこそなのかもしれませんね。入社してから「もう辞めたい」とか「仕事行きたくない」って感覚になったことは正直ほんとうに無くて、毎日が楽しいです。大変なことすら楽しいと思えてます。

充実しているんですね。

そうですね、ありがたいことに。この仕事って、自分の100%を全部その日の仕事で出し切っちゃうというか。その放送、その仕事が終わったら、もう振り返っても仕方ないわけで。こうすればよかったなという反省点だけを持って次の仕事に臨む。テレビの仕事にこれで良し!完成!ってなる日は永遠に訪れなくて、昨日より今日、今日より明日1ミリでもいい放送をって、毎日更新していく。これをずーっと繰り返していくんです。その日「完結」したものにどんどん上塗りしていくような。その日その日に置いてきちゃうんですよ。だから一つの失敗をあまり引きずったりしないですね。

将来の展望を教えてください。

これから先、どんな仕事を担当することになるのかは全くわからないので、強いて言うなら、これからもとにかく与えられた仕事に全力で打ち込むということが今後の展望になるんでしょうか。
今は北3条の赤れんがテラス前でお天気とクイズコーナーの中継をしていて、毎日たくさんの街の皆さんとお話しをしているんですね。放送中じゃなくって、空き時間に。クイズコーナーに参加される方は勿論、たまたまそこを歩いていた人に話しかけられたり、逆に近寄って行って話しかけてみたり。その時間がいまとても楽しくて。ほんとにただ「こんにちは」って挨拶から始まって、「どこから来たんですか~」とか「今からどこ行くんですか~」とか「あそこのお店美味しいですよね!」とかっていうような雑談なんですけど、それだけでも「楽しかった」とか「話せて嬉しかった」って言ってもらえたりして。
でもきっとそれは、話した相手がアナウンサーだったからっていうのは5%くらいで、残りの95%は単純に街で初めて会った人とおしゃべりすることって今の時代あまりないから、そういう、人と人とのコミュニケーションの楽しさを新鮮に感じてくれて、私も同じように感じてるんだと思うんです。

「人前で話すことが苦手」だった森田さんが!

ほんとですよね(笑)。仕事としてではなく、一人の人間として、ちょっとしたことで誰かを少しだけ笑顔にしたり、わずかな時間だけでも嫌なことを忘れさせたりすることができるんだって気がついたというか。ほんとに当たり前のことなんですけど、誰かを幸せにすることの喜びを知った。だからいま、私の中で誰かの役に立ちたい、誰かの為になりたい、誰かを笑顔にしたいって気持ちがすごく膨らんでいます。そのために、私にしかできないことを時間をかけて探して行きたいなと思っています。

この展望を聞いて、「アナウンサー」のイメージが、変わりました。

嬉しいです!記者をしていたこともあり分かったことでもありますが、一つのニュースや番組が放送される背景には沢山の人の努力があるんです。情報を得た人、取材に行き原稿を書く人、映像を撮る人、音声を撮る人、それらを編集する人、映像を電波に乗せて流す人、あるいはスポンサーと交渉する人…もう挙げればキリがないくらいです。アナウンサーはそれを最後に視聴者に伝える人、リレーでいえばアンカーですから、自分の読み間違いなどで台無しにしてしまうこともあるわけです。それだけ責任をもって臨まなければいけないと思って毎日やっています。逆に記者や制作する側で、「自分達のミスが最後に伝えるアナウンサーのミスに見えてしまう事もあるから責任をもってやっているよ」と言っている人もいたので、どのセクションの人も感じていることは同じなのかもしれませんね。だから…同じ番組を作る仲間、チームのためにも毎日精一杯の力で働きたい、これが私の展望ですね。

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小学生の保護者のみなさんへのメッセージをお願いします。

私も、今はまだ子どもはいませんけど、子どもが生まれたら「絶対藤で学ばせたい!」って決めていて。藤に入れたいために私女の子が欲しいっていうぐらい…。絶対後悔はしないと思いますし、私の両親を見ていても思います。両親は「本当に入れてよかった」って、月に1回くらい言っていますね。子どもにはわからなくても、親は、自分の娘を見てそう思うみたいなので。間違いなくいい子に育つと思います!う~ん…私はどうかわかりませんが(笑)


撮影場所:北海道放送本社
インタビュアー・ライター/新山 晃子
カメラ/中村 祐弘
編集/松永 大輔