進路について OGの活躍
進路について OGの活躍
今村彩加さん 第3話トップ
第3話

「僕よりうちの宿の事考えてくれているから、
任せるよ」

大学時代に気づいた、目の前にいる人の役に立ちたいという軸。
みごと、第1志望のリクルート北海道じゃらんに就職します。
今村さんの仕事ぶりは?
さらに、今後の展望をうかがいました…

教員免許を取得しましたが、教育界へは進まなかったんですね。進路の決断はどのように?

繰り返してしまい恐縮ですが、「広い世界を見たい」という気持ちがずっとありました。大学卒業まで「学校」という世界に属しているし、専攻は文化や日本史の研究。実習先も教育現場。そんな中、猛烈に「一般的な社会はどうなってるんだ」というところに興味が湧いたので、「企業の経営者に直接会える職種」というのが1つめの軸で、その軸に沿って面接先を選びました。なので、就職活動の2つの軸は「責任ある仕事を任せてもらえる環境で、経営者に会えること」、「相手の課題を、一緒に解決していくような仕事」。そこで最も理想的だったのがリクルート北海道じゃらんでした。

今村彩加さん5

じゃらんは、第1希望だったのですか?

はい。内定を頂いた際にはとても嬉しかったです。

ネームバリューのある会社です。全国で「じゃらん」は通じますもんね。

OTA(オンライントラベルエージェント)としては「じゃらんnet」、そして雑誌では「北海道じゃらん」。ほかにも関東・東北じゃらんなど、5版あるので、全国で通じますね。

他に受けた企業はありますか?

4社から内定を頂きました。火災保険やIT企業など。就職活動のもう一つの軸は「課題解決ができる仕事」でした。

社会をよりよくしたい、という軸?

というよりももっと身近で…目の前にいる人の役に立ちたい、という。この一本の話しかせずに、4社から内定を頂きました。

塾の経験からできた軸がぶれなかったんですね。ちなみにじゃらんだと、どんな課題解決を?

クライアントの集客を伸ばすための課題解決です。宿泊施設・行政機関・レジャー施設・飲食店などが主なクライアントにあたるのですが、まずは相手の目標と現状を明確にしたのち、目標達成のために解決するべき“現状とのギャップ(=課題) “を導き出す。そしてその課題を解決するための方法を企画やプロモーション案を提案する、という流れです。

大学時代に今村さんがやりがいを感じた「伴走」ですね。

そうなんです。「じゃらんnet」などから得られる、社内に蓄積されている膨大なデータから必要な分析をし、課題を解決するために宿泊プランの作成、イベントやビュッフェのメニューなどコンテンツの提案、そしてリクルート北海道じゃらんが持つ様々なプロダクト(媒体)から必要なものを組み合わせ、多角的に提案を行いました。クライアントへのヒアリングや分析に基づいて集客拡大の余地を見つける事に始まり、具体的には「北海道じゃらん」や「じゃらんnet」を活用したプロモーションの提案や、温泉地などエリア全体で多様な業種を巻き込んでの集客企画、じゃらんnetのオンライン広告の提案、北海道じゃらんサイト上でのプロモーション、必要があれば社内外にアンケート調査を行い、集客課題を特定・解決策を立案するなど、さまざまなプロダクトや手段で集客手法を企画・提案するので、業務内容は多岐にわたります。営業といっても、マーケティングやコンサルタントのような業務もベースにありますね。

B to C より、B to B なんですね。

はい、法人営業でした。

そのなかで、クライアントが「こうありたい」という形を模索しながら、それに沿うものを提案すというのが魅力だったのですね。

自分の提案で、実際にクライアントの集客が伸び、目標を達成する手助けが出来た時に、何よりやりがいを感じました。ただものを売るだけの営業ではなく、クライアントと課題を共有し、解決の手法を考え、ともに実現まで伴走するため、「一企業の営業担当で、広告を販売する人」としてではなく「集客に伴走するパートナー」として頼りにしていただけました。

今村彩加さん6

今村さんの場合、初めて出会う人、というのも楽しいわけですから。

はい。入社当時は、新規のお取引を頂くための「飛び込み営業」があり、苦手という人もいる中わたしはこれが大好きでした(笑)。1番はやく契約を頂いたり、新規契約件数最多が一要因となり賞を頂いたこともありました。

すばらしい!今村さんは「私のこと嫌いになる人なんていない」って思ってることが強みだったのでは?

確かに…飛び込み営業で門前払いされたことが一度も無く。最初はもちろん緊張こそしましたが、どこかで「私のこと愛してくれるはず!」と信じてニコニコ飛び込んでたんでしょうね(笑)。相手の事も信じていました。「皆いい人!」と。

それ、藤イズムですね(笑)。よもやこんなキュートに明るく来たら(笑)

「愛されないわけない!誰が私を断るの?」という自信が藤イズム(笑)

心から嘘じゃなくクライアントのためになりたいって思ってますしね。

本当に思っていました。だから必要ないものは売りたくない。そのために分析も調査も納得いくまでする必要があるので、時間が限られている中、スケジュールを逆算し、調整して。必要なところに必要なもの。を提案していたので、「やっていただかなくていいんですか?」という自信すら持って提案をしていました(笑)

で、顔見知りになると、より楽しく。

初対面では「じゃらんさん」と呼ばれていたのに、いつの間にか全クライアントに「柏さん(※旧姓)」と名前で呼んでもらっていると気づいた際、パートナーとして認めてもらえた実感がありましたね。5年以上お取引のなかった宿の支配人から「僕よりうちの宿の事考えてくれているから、柏さんに任せるよ」とご契約頂いたことも嬉しくて、印象に残っています。支配人が思う宿の課題以外にも、リクルート北海道じゃらんの営業担当だからこそ気づく客観的な視点があると思い、オーダーされた事のほかにも、分析したデータを元に「本当にやるべきことはここでは?」と気づいた事を提案していた結果でした。あとは光栄にも、新しく作る露天風呂の名前を付けさせてもらったり。先方の社長から「他の代理店にも予算を割いて依頼したんだけど、しっくりこなくて。柏さん、何か案ある?」と。当時のリーダーに手伝ってもらいながら、宿やエリアの特性を踏まえて必死に考えたものを採用して頂きました。パートナーとして認めてもらえると、任せて頂く幅も広がり、年々仕事は楽しくなっていきましたね。

誰よりも真剣に。「営業苦しい」という人もいると思いますが、じゃらんさんは、もともと「営業」に適性のある人をとっているわけですね。

採用には本当に力を入れていますね。新卒採用では総合職(営業部もしくは編集部に配属)で募集がありました。組織としての全体最適、当人の適性・長期的なキャリアプラン・希望など、様々な点を考慮した上で、配属されます。リクルート北海道じゃらんの人達は皆、優しくて、人が好きで、社内外問わず相手のために動ける人ばかりです。忙しいな、という悩みはその時々であると思いますが、仕事内容が嫌いという人はいないと思いますね。

天職じゃないですか。

天職でした。

働くにあたって、生きた藤の教えはなんですか?

小ネタからいくと…、入社できたのは新山先生のおかげかと(笑)。私の代では多くの応募者の中から内定者が数名という、なかなかの難関だったんですが、社長面接までやっとの思いでこぎつけて。そこで私、履歴書の特技欄に迷った挙句「日本の天皇 125 代全部言えます」って書いていたんですね。他の企業でも必ず触れられましたが「面白いね、言われてもわかんないけどね~」とちゃかされるくらい。でも当時、最終面接をしていただいたリクルート北海道じゃらんの社長は歴史好きで。開口一番に「君、天皇 125 代全部言えるって本当?勝負しよう」と。綏靖くらいから 20 人くらい、社長と天皇ラリーしました。それがなかったら入社できてなかったかも(笑)。働き始めてたくさん経営者の方々にはお会いしましたが、歴史好きの方、非常に多かったです。

じゃあ、歴史好きが活かされたわけですね。

入社してしばらく経ち社長に後日談を聞きましたが、私の履歴書を見て「この人 125 代いえるって言ってるんだけど本当か?俺も言える!」って思って燃えた、と(笑)

今村彩加さん7

会ってみたい、という気持ちに。

そして、確かめられました。実は鎌倉あたりまで得意でしたが、江戸以降あやふやなところもあって内心めちゃくちゃ焦りました(笑)

後西天皇とかは難しいですからね。

後西天皇あたりだと今ここにはいないかも…(笑)。運も良かったですね。それがあったおかげで印象に残ったみたいです。その後も、クライアントである経営者の方たちにも「すごく歴史が好き」という方が多く、ファーストインプレッションに役立ち続けました。

役に立ちますよね。その土地その土地に歴史があるから。

そうなんですよね。歴史と経済はもちろん、観光と歴史も密接につながってるので。たとえば増毛では、「『国稀』のマレは乃木希典のマレなんですね!」とか。

では、大ネタはなんでしたか?

1つ目は、クライアントにものすごく恵まれたというか、愛された事ですね。
藤女子では6年間、愛情を持って育ててもらえるし、生徒同士も個々を認め合う風土があるので、自己肯定感がしっかり育ちます。社会に出ると、自分で考えて行動する事や、意見を主張しなければならない事ばかりです。相手にどう思われるか、これでいいのかどうか、という事ばかりに囚われると何もできません。リクルート北海道じゃらんはありがたい事に、年次の若い時から大きな仕事を任せてもらえる環境で、サポートも手厚いですが、基本的には「習うより慣れろ」というスピード感のある環境でした。正直特に最初は、失敗する事ばかりでした。そんな中、失敗を恐れずにとにかく自分を信じてチャレンジする事の連続。対クライアントにおいても、自分より経験値も役職もはるか上の方々にアプローチし提案をする毎日でしたが、物怖じしていたら、こちらから良い提案はできません。周囲を上手に巻き込みながら、自分でできる最大限の分析や提案を行う上で「私はこう思う、こうすべきと考えています」と意見を主張する必要がありました。「私は私でいれば大丈夫」という自信がもともとベースにある事は、なにより大切な事だったと思います。おかげで社内外ともに良好な関係を築く事ができました。

「わたしという存在」を自分で認める土台形成ですね。では、2つ目は?

歴史的な思考です。そもそも私が日本史にハマったのは、新山先生の授業で「すべてに理由がある」事が分かり、面白かったからです。歴史は暗記ではなく、「この出来事があったから、こういう結果」というストーリーが必ずあります。そんな日本史を勉強し続けていたので、いざ社会人になり、自分の担当のクライアントを目の前にしても、「なぜこういった地域史のあるエリアで、どういう理由で創業し、宿の名前の由来はどうで、なぜこのサービスを提供しているのか」といった、ルーツやストーリーを事前に調べる事は自分にとって自然な事でした。

何らかの思考方法を身につけること、大切ですよね。

課題解決型の提案は、こちらの分析だけでは成り立ちません。円滑に進む関係を築いたうえで、クライアントからできるだけ多くの情報を正確にヒアリングする事で教えて頂き、宿の「現状」がわからなければ、「目標」が分かったところでその間のギャップである「課題」は導き出せないからです。私たちも、自分を知ろうともしない相手に自分の事を話そうと思わないですよね。アポイントでお時間を頂く際には、とことん相手の施設情報は調べた上で、「御社はこうした泉質で、湯治宿として〇年もこの地にあったんですね」というお話をする事で、「よくご存じですね、実は…」とより多くの情報を教えて頂きました。
また、プロモーションにおいてもストーリーは重要です。例えば広告を作成するにあたって、「どう表現したら、この施設がカスタマーにとって魅力的に映り、実際に行って見たいと思ってもらう事で集客につなげられるか」を考えますが、「あえて他施設ではなくそこに行く理由」を伝えるには、その施設にしかないストーリーを軸に、より魅力的にみせる方法を提案する必要があります。なので、リレーション構築・ヒアリング・企画・提案、そのどれもに歴史が役立ちました。前社長にも、入社直後「どんな土地にも施設にも必ず歴史はあるから、柏の思考は強みだよ」と言っていただきましたし、5年間いつもそれを実感していました。

私は今村さんに単なる暗記ではなく、歴史学的なアプローチの手法を教えてたということですか?

そうなんです。本当に偉大です…。ありがとうございます。

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小学生の児童の保護者の方々に対して、メッセージをお願いします。

間違いないと思います。入りたくなかった、と言いましたが、入学して本当に良かったです。藤女子中学・高等学校で過ごした6年間がなければ、何よりここまで自己肯定感は得られなかったと思います。温かく愛にあふれた先生たちに育ててもらえる事、そして自立した学友との間で過ごす事で、自分がちゃんと愛される存在であるということを自覚し、自分は何にでもなれる存在なんだという自信が育ちます。これからの時代は、AI や IoT など IT 技術の更なる進化、人口減少、グローバル化など社会の在り方も大きく変わっていく時代だという事を、前職や今後目指す分野の勉強を通し痛感しています。時代の変化に取り残されず、自信をもってしなやかに活躍していく女性としての揺るがない土台を作ってくれるのは、藤女子の教育ならではだと思います。


撮影場所:藤女子大学
インタビュアー・ライター/新山 晃子
カメラ/中村 祐弘
編集/高橋 巧